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クリスマスローズの育て方とガーデニング 花と園芸植物の販売情報

若泉ファームのサイトにようこそ。お届けするクリスマスローズは奇跡の花、ニゲルとチベタヌスの交配種「絹」、外覆輪のセミダブル「雅」、ホワイト糸ピコティ「FirstKiss」、グリーンピコティ「翡翠」、赤い雄しべをもつ「卑弥呼」、 第4のクリスマスローズジャンル「Shall We Dance」などオリジナル品種をネットショップにて販売していますのでご利用ください。

私のクリスマスローズ 陶芸と花遊び

第1章  クリスマスイブ 月食の日に出会った汚いクリスマスローズ

1980年代、バブルの終わりの頃...当時小学校教員だった私はよい(?)先輩方に恵まれ、定期的に女性限定グルメツアーに同行させて頂いていました。
美味しいものを暇さえあれば探求する日々でした。
忘年会は担当幹事であったため、職場の同僚を大勢引き連れて銀座7丁目の土佐料理の宴会場に向かっていました。
鰹のタタキと土佐鶴はすぐ近くに...「もうすぐですよ。」などと言いながら、誘導していた私。
何丁目だったかある花屋の前を通りかかった時、腕を回さなければ抱えられないほどの薄汚い色味の大きな株の2つの鉢植えに思わず目が止まり、足も止まってしまいました。
私にとっては俗に言われている薄汚い色は、バブル時代の当時は相当マイノリティーでも、大好きな色だったです。

ちょっと冷めた感じのライトグリーン、かなりグレーっぽい薄めの赤紫色。
恐らくハイブリッド種の株?もうたまりません。
それもほとんどの花がひっそり俯いているのですから。素敵〜。
バブリーな時代、派手な色味に囲まれて、華やかに輝く銀座のクリスマスイブの日に、よりによってこんな理想の色の花に出会えるなんてと信じられませんでした。

誘導していることも忘れ、店にズンズン入って行って「何という花なのですか?」
とまず伺うとお洒落な店員さんがにっこり笑って「クリスマスローズと言います。」と教えてくれました。
火が点いた私はいろいろな質問を投げかけて夢中になって花を見ていました。

そんな時、グルメの大先輩が背後から肩をトントン。
「もう終わった?勝手に行っちゃった人もいるわよ。幹事さん困るわよねえ...」。
ああ、やっちゃった...
校長と教頭は行っちゃった....

でもその後の宴会は四万十川の鮎が絶品で土佐鶴もガンガン空き、皆満足してくださいました。(お酒の飲み過ぎで予算オーバーで会計担当が不足分を後日徴収する羽目になったのですが...)
宴会場を後にする時、頭上の月を見上げると、クライマックスのダイヤモンドリングは当に終わっていて、暗い影の中でボーッと薄暗く光る月だけが見えました。

私が初めてクリスマスローズに出会ったのはクリスマスイブの月食の夜、それも銀座のフラワーショップだったのです。

第2章 骨董は癒し...オーラが癒し

仕事の傍ら競技スキーに燃えていた私は体育会系の人生にかなり満足していました。も、怪我してしまうと人生がガラッと変わる。
このリハビリ時代に散歩中に出会ったのが骨董の初期伊万里の蕎麦猪口。
こんなにすぐ使えそうで可愛らしい姿なのに300年前に誰かが作った? 江戸時代のオーラが私を捉えて離しませんでした。
価格もオーラが強過ぎて... こんな時に子ども達の「アートクラブ」指導の時間に校庭で土器を焼く活動があり、担当の先生が私の作品も焼成してくださいました。
素朴な野焼きでしたが、味わいがあり...手作りのよさを初めて知りました。
下絵です。グリーンの株は張り切って
(大学の窯芸の授業は大嫌いでした。) 土器を焼成してくださった先生は陶芸の工房に通われていてリハビリしかできない私を誘ってくださったのが陶芸との出会いです。 最初は器を一つ作るのもままならず、分厚くてヒビが入ることもしばしばでした。
でも骨董店で見ていた器を作りたいと強く思うようになり、染め付けだけには真剣に取り組みました。
江戸時代の作品を多く収蔵する美術館にも通い詰めました。
18世紀初頭、江戸時代の陶工達がまるでクロッキーブックに写生するように野の花、庭に咲く花を器に染めつけているのに感動し、様式化されていない素朴な染め付けの器にはまってしまいました。呉須(染め付け絵の具)の様々な深みのある青や藍色にも惹かれ、体育会系の生活が180度一変しました。
有田の技法に忠実に(のつもり)描くと何となくお相撲さんの浮世絵に見えてくる。なぜだろう?
時代ごとの流行や図柄の変化もおもしろく、素描こそ制作の柱なのだと痛感させられました。
今、よく見る花達もたくさん描かれているのが江戸の染め付けの柄です。
道具や動物、景色や自然現象、紋様も素敵ですが、何と言っても植物なのかも知れません。 15年もろくろで器をひき、クリスマスローズを写生してひたすら染め付けているのは、初期伊万里の染付の器との出会いが原点なのです。
アウグチフォリウスの流れるような曲線は  楚々として緊張感を感じる株
最終章 花を想い器を楽しむ

自慢ではありませんが、若い頃は鉢植えの花を頂いても見事に全て枯らしてしまうタイプ。別に水やりを怠るわけでもなく、そこそこ世話もするのに...です。
世話の必要がほとんどいらないサボテンでさえ、短期間でさよならを言わなければならなくなる。そんな自慢を持つ私を変えてくれたのが実はクリスマスローズでした。

世話の仕方など知識がないので、(当時は多忙で調べる暇もなかった!)当然、私なりの世話をする。
期待しないでやり過ごし、次の年。あれ、つぼみ。今度は花がそれもたくさん。

健気なクリスマスローズが愛おしく感じられ、世話の仕方を前向きに学ぼうと思ってからが大変。赤玉や鹿沼って言われても知らない。
鉢の号数や素材、種類が分からない。肥料は堆肥と腐葉土の違いも怪しい。あまりに基本の手前の超素人すぎる。
こんな私でしたが、根気よく習い、学び、慣れて今や狭い庭に多い時で60鉢近く育ててしまっているのには自分でも驚きです。
園芸店では誰もが知っていることも堂々と聞いています。でも毎年、よく分からないまま育てているので、咲くまではギャンブル感覚。

ウンチクなしで栽培にはまっていることにも笑えます。
異常気象にも一か八かなどと言うスタンスなので不幸なのはわが家の株達でしょう。素人でも素人なりに楽しめるから恐るべしクリスマスローズ。
染付のモティーフがクリスマスローズ中心なのは皆さんお分かりですか。
私が育てることができるのは唯一クリスマスローズだったから...なのです。
それと、毎年4月にガラッとリセットされる職業柄、年度前半は器をろくろでひき素焼きを40-50作りためるのが精いっぱい。
冬になってようやく染め付けの工程になるも、春夏の写生はピンとこないし、ふと庭を見るとニゲルが真っ白な花を咲かせている。
これだあ。

半年ひいて半年描く。多忙な仕事をしながら細々と趣味を続けていた私のスタイルだったのです。年度末になると職業柄また最高に忙しくなるので限定期間は1-2月しかないのですが、器がスケッチブックだと思い、器に描いている時は心から幸せを感じていました。
時にはスケッチをする暇も無く、工房に開花鉢を持ち込み正に直描き。 この頃の作品のインパクトは下手でも強烈でした。そんなスタイルを私は最高に気に入っていました。

現在では、懐かしい自分スタイルも変わりのんびり描けるようになりました。
私は低カロリー高タンパクの食事療法が少し必要な時期があり、食事ではいつも上等な(私のコレクションでは!)初期伊万里に近い時代の骨董や土物、現代有田焼などこだわりをもって使っていました。
仕事帰りに急に魚の照り焼きを載せる器が欲しくなり、あちこち探したこともあります。

高カロリー食が恋しくなるのは実は器が寂しくなるから!なのではないでしょうか。私がかつて「リバウンドの女王」と自分を称していたのも、食事制限に負け安かったから。そう思います。その原因は器だったのです。
皆さんは減塩の梅干1個。いつもどんなお皿に盛り付けていますか?実はグルメのハイカロリー食はお皿を選びません。油分で輝いているし、美味しそうな食材もたくさん入っているからです。
それこそ百均の器でも...。
でも梅干を載せるお皿にはこだわって欲しい。
カロリーはオーラでカバーするもの!骨董屋の店先の足元の籠から探し出した器であっても信じられないほどの存在感。江戸時代オーラが食事制限の現実を必ず救ってくれます。
自己満足のこだわりに自信を持ち、好きな花や器を愛でることが今、人生で大切なサプリと言えます。
花を想い、作品を作り、どこかでよい器に出会えることが私のように偶然に繋がったとしたら、人生で最高の幸せです。
これからも自分がひいた大切な器に大好きなクリスマスローズを描いて楽しみます。クリスマスローズに裏切られないようにハラハラしながら...。

http://wakaizumi.blogspot.jp/2016/09/blog-post.html
                          文&写真  松原@陶芸家
 

私の花時間 花といっしょにお庭散歩

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