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WK WAKAIZUMI HELLEBORUS FARM
ヘレボルス・クリスマスローズの原種・花の写真図鑑と解説


クリスマスローズ・ガーデンハイブリットの数々を彩っている原種は、ヨーロッパの西部スペインからアルプス山脈を越えユーラシア大陸を横切り中国四川省までの、主として北緯40度から50度のラインに生育しています。その原種の数は亜種を含め約20種を越えています。
最近までヘレボルスの原種数は16種といわれていましたが、ブライアン マッシュー氏(Brian Mathew) ・ウィル マックルーィン氏(Will Mc.Lewin) らの研究によって、新たにリグリクス(h.liguricus)・アブリジクス(h.abruzzicus)などが加えられヘレボルス原種分類が確認されています。
草の姿で原種たちを大きく分けると茎の有る有茎種と茎の無い無茎種の原種に分けられ、有茎種のアーグチフォリウス(旧名コルシクス)やリビダスなどは地中海の島々を生育の自生地として、また無茎種のアトロルーベンスやオドルス・トルカータスなどはバルカン半島の旧ユーゴスラビアを中心としたクロアチアやハンガリーなどヨーロッパ中部の国々に自生し・オリエンタリスの亜種を含めた種はロシアやトルコなどの黒海沿岸地方に生育の足場をもっています。
このヘレボルスの原種の中では、生育地で大きな特徴を持った種にヴェシカリウスとチベタヌスがあり、ヴェシカリウスは1種類中東シリア・トルコなどの山岳砂漠地帯に生育し、チベタヌスは他のヘレボルスとは隔離され中国の四川省を中心とした山岳地帯に生育しています。
このコーナーでご紹介する原種の一群は画像共にWAKAIZUMI-FARMにて実際に栽培しているものでありますが、一株ごとにヘレボルス特有の変異を大きく表しますので、実際には紹介に使っている写真などと異なることがあります。

アトロルーベンス
(h.atrorubens)

旧ユーゴスラビア・スロベニアを中心に自生し草丈約30センチから40センチで、葉は細長いものが多く花の直径は約3〜4センチ。外側の弁の色は小豆色で内側の花弁の色は緑が多い。
アトロルーベンスは発芽から開花までは4〜5年かかり冬季には葉が枯れる。
栽培するには鉢植えでも庭植でも良いが夏の直射日光は避けるようにすると良い。

群れて咲くヘレボルスの原種アトロルーベンス     ヘレボルスの原種アトロルーベンス


ムルチフィダス
(h.multifidus)


イエローからグリーンにかけての3センチ前後の花を咲かせ自生地は旧ユーゴスラビア。
草の丈は大きくはならず20センチから30センチ前後で草の葉は15前後に分かれる。
ムルチフィダスには3つの亜種がある。国内での開花までの期間は実生から約4〜5年ほどかかる。

ヘレボルスの原種ムルチフイダス   ヘレボルスの原種ムルチフィダスの種房


プルプラスセンス
(h.purpurascens)

プルプラスセンスの外側の弁は紫、内側の弁は灰色から草色が多い。
ハンガリーやウクライナ地方に自生し、特徴として最初の花は土の近くで咲き、
次第に茎が伸びて通常の咲き方になる。

ヘレボルスの原種プルプラスセンス   ヘレボルスの原種プルプラスセンス


トルカータス
(h.torquatus)

草丈40センチ前後でカップ咲きの花が多く、外弁は紫や小豆色・内弁の色はグリーンを表すのが多い。
トルカータスの自生地は旧ユーゴスラビアなどで開花までの年月は4〜5年。
ダブルのパーティドレスはトルカータスの変異種(八重花)から作られている。

ヘレボルスの原種トルカータス   ヘレボルスの原種トルカータスの蕾


ヴェシカリウス
(h.vesicarius)

ヴェシカリウスはトルコからシリアの砂漠地帯に自生し独特な生育をし、発芽から一年は双葉を枯らして生育を停止し翌年になり本葉を発生させ成長します。種子の莢も他の原種ヘレボルスと比較すると非常に大きく、莢の中に生まれる種は数粒しか出来ず数年間は種の発芽が可能。
これは小雨で乾燥した気候に生育順応し子孫を残そうとしているものと思われる。
ヴェシカリウスは寒さには弱いが東京などで特に越冬設備のない環境でも越冬し、発芽から開花までの期間は順調に行って実生から6〜7年はかかる。鉢栽培のポィントは夏季の落葉時の水やりで加湿にしないことが大切
用土は加湿にしないこととに重点を置き、さらに苗の置き場所などには雨などが当たらないよう十分な注意を払い肥料・水は最小限に止めての栽培。

膨らんできたヘレボルスの原種ヴェシカリウスの蕾    ヘレボルス原種ヴェシカリウスの花

ヘレボルスの原種ヴェシカリウスの種房    ヘレボルスの原種ヴェシカリウスの種とハイブリットの種の比較
ヴェシカリウスの種房、長さ約10センチの房の中には数粒の種子が房の大きさの割には少くないが入っている右側の茶色で丸い種がヴェシカリウス、左側の黒いのはガーデンハイブリットの種。
ヴェシカリウスの種は一つの種房に2〜5個の種が入っている。


オリエンタリス
(h.orientalis)

オリエンタリス・アブチャスカ・グタータスなどの3つの亜種があり、花の色は白・黄色・薄いピンクなどがある。ロシアのコーカサス地方からトルコ・黒海沿岸に自生している。他の無茎種の原種と交雑させたガーデンハイブリット(レンテンローズ)を生み出すため重要な役割を果たしてきいる。
実生から開花までの期間は無茎種の中では早い種類です。

ヘレボルス原種オリエンタリスグタータス    ヘレボルスの原種オリエンタリス

ヘレボルスオリエンタリスの原種アブチャスカ
オリエンタリス亜種の原種アブチャスカはハイブリットのピンクの親になっているといわれている。


チベタヌス
(h.thibetanus)

チベタヌスはヘレボルスの主としての自生地から隔離されている唯一の原種で、荻巣氏によって120年ぶりに中国の四川省で再発見され紹介されたヘレボルスの原種です。
花色は特に変異は多くなく白から淡いピンクに赤のベィンが入っているものもある。
草丈は30センチから40センチ前後で夏季から秋にかけては葉を枯らし生育を停止するが、国内では10月頃まで葉が残っているように栽培すると翌春の花付きが良くなる。
中国から輸入されているチベタヌスの苗は根を短く切られているため、鉢栽培などでは用土や水やりには細心の注意が必要。国内で実生された苗は関東地方の夏の暑さにも用土・水やり・遮光と風通しなどの工夫によって十分に栽培できる。開花までの期間は順調に行って、実生発芽から5年から6年はかかる模様。

地植えのヘレボルス原種チベタヌス    ヘレボルスの原種チベタヌスピンクの花


アーグチフォリウス
(h.argutifolius)

アーグチフォリウスはコルシカ島を中心にヨーロッパに自生する有茎種で、ヘレボルスの仲間では大きな株に育てることが可能。近年まで主な自生地のコルシカ島にちなみ旧名コルシクスと呼ばれていた。
明るいグリーンの花で茎が伸びた先端にたわわに花を付ける。
やや寒さに弱いが鉢植えでも庭植でも十分に楽しむことが出来る。
花はアレンジの素材に有望。また、このアーグチフォリウスには変異として、葉に白い斑の美しく入ったパシフィックフロストがある。
斑の入ったアーグチフォリウス・パイフィックフロストについては夏の期間中は十分な遮光下で栽培する。

原種アウグチフオリゥスの変種 パシフィックフロスト    地植えの原種アグチフォリゥス
斑入りのアーグチフォリウス(h.argutifolius)品種名パシフィックフロストと地植えのアーグチフォリウス


ニゲル
(h.niger)

ニゲルは純白
の花でヨーロッパなどではクリスマスの頃に咲くために「クリスマスに咲くバラ」「クリスマスローズ」の名を冠されたいへん人気のある原種で、ヨーロッパアルプスの東端からイタリア・ドイツ・オーストリア・旧ユーゴスラビアにかけて自生している。
育てるのは他の原種たちと比較して大変楽で大きな株に短期間ですることが出来る原種です。
ただし株の寿命は短いようで種子を採取しながら株の更新をするか、適当な大きさに育ったら株分けして世代の更新をするようにする。最近ではニゲルのダブルフラワーも出され、チベタヌスとニゲルとのの交雑種「ピンクアイス」Pink Ice (H. nigercors x H. thibetanus)、ヴェシカリウスとの交雑種「ブライアーローズ」も作出されている。
栽培方法にもよるが蕾をたくさん付けて咲かせることが可能。
ニゲルには亜種とは異なるが、イギリスの育種家マックルーィン氏がヨーロッパアルプスで発見したピンクから赤にかけての色を表すニゲルの変異を表した種類もある。
これには「サンライズ」「サンセット」の名を付けられているが、国内ではピンクや赤の色は表しにくいようだ。
このニゲルという名のいわれは植物の根の色が黒いことに始まるが実際の根の色は白です。


ヘレボルスの原種ニゲル    ニゲルの変異種 ニゲル八重


リビダス
(h.lividus)

原種リビダスはスペインのマジョルカ島など,地中海沿岸の一部の限られたところに自生して、小豆色や緑の小型の花をたくさん付ける有茎種です。地中海性の温暖な地域の産のため低温には弱く、また種の変異には立ち性と這い性の株が見受けられる。開花までの期間は実生から早くて一年。
這い性のリビダスは茎が細く花の重みで花房が垂れ下がる性質を利用して、ハンギングバスケットの素材に良い。有る意味で非常に注目しても良い原種です。


リビダス   群がり咲く原種リビダス


フェチダス
(h.foetidas)

花径1.5センチほどの小輪の花を伸びた茎の先につける。
フェチダスとの名のいわれは葉や茎をつぶすと変わった匂いを発生するためにこの名がついた。
花の色はグリーンで垂れ下がって咲き、花弁の先が赤く彩られる個性的な原種。
花が咲くと株の高さ80センチから1メートルを超えるが、鉢植えでの栽培には困難がつきまとう。
また幾つかのフェチダスの変異種には花そのものは変わらず、細葉の種や黄色の葉のフェチダスや葉に斑の入ったシードストレィンがある。これらは葉緑素が抜けているために育てるには夏季の十分な遮光が必要。
自生地はイギリス・スペイン・イタリアなど。


ヘレボルスの原種フエチダス   地植えの原種フエチダス


クロアチアカス
(h.croaticus )

旧ユーゴスラビア・現在のクロアチアに多く自生し花の形や色などは原種アトロルーベンスやトルカータスに似ている。
クロアチアカスの草の高さは40センチ前後で花色などには変異が多い。


ヴィリダス
h.viridis

ヴィリダスの草丈は30センチ前後で花の色はグリーン。


デュメトルメ
h.dumetorum

草の丈は小さく、約20センチほどで3センチほどの小さな黄色がかったグリーンの花を咲かせる。
また春に出てくる葉は細かく繊細な趣があり、デュメトルメを育てるには夏の暑さに注意する。

ヘレボルスの原種デュトルメ


シクロフィルス
h.cyclophyllus

花の色は明るいグリーンから黄色を帯びる。草丈は比較的大きく40〜50pほどで数輪の花を付ける


オドルス
h.odorus

オドルスは無茎種の原種の中では花に香りがある個体がある。
草の丈は40センチ前後で花の色は黄色を帯びた緑色をしている。
他の原種ムルチフィダスなどの花色に似るが、春に発生してくる葉に細かな毛が発生しているので
見分けがつきやすい。

ヘレボルスの原種オドルス


オキシデンタリス
h.occidentalis

ヴィリディスの亜種とされてきた。 花の色は若干濁った緑色をしている。
主な自生地は北イタリアのトスカーナ地方。


リグリクス
h.liguricus


ムルチフィダスの変異種とされてきたが独立した。
北イタリアに生育し花色は淡い緑色。花弁は小型で微かな香りが特徴。


ボッコネイ
h.bocconei

ムルチフィダスの亜種と扱われてきたが新たに独立した種である。
葉の特徴は鋸歯が目立ち遅くまで葉が枯れずに残る。黄緑色の花で分布はイタリア半島南部。


ヘレボルス(HELLEBORUS)の原種茎による分類

無茎種の原種・主とする自生地名

●H・atrorubens(アトロルーベンス)
旧ユーゴスラビア
●H・croaticus (クロアチカス)
クロアチア
●H・cyclophyllus (シクロフィルス)
アルバニア・ギリシャ・スロベニア
●H・dumetorum (デュメトルメ)
オーストリア・ハンガリー・ブルガリア
●H・multifidus (ムルチフィダス)
旧ユーゴスラビア
●H・odorus (オドルス)
スロベニア・ルーマニア・ブルガリア
●H・orientalis (オリエンタリス)
ロシアコーカサス地方・トルコ
●H・purpurascens (プルプラセンス)
ロシアウクライナ地方・ポーランド
●H・tibetanus (チベタヌス)
中国四川省・湖北省など
●H・torquatus (トルカータス)
旧ユーゴスラビアなど
●H・viridis (ヴィリデス)
ヨーロッパ中部
●H・occidentalis(オキシデンタリス)
ヨーロッパ北部から西部
●H・bocconei(ボッコネイ)
南イタリア
●H・abruzzicus(アブリジクス)
イタリア
●H・liguricus(リグリクス)
北イタリア

有茎種の原種・主とする自生地名

●H・argutifolius(アーグチフォリウス・旧名コルシクス)
コルシカ島など地中海の島
●H・foetidus (フェチダス)
ヨーロッパの国々・スペイン・フランス
●H・lividus (リビダス)
マジョルカ島

その他の原種(植物分類学上中間種とも呼ばれている)

●H・versicarius (ヴェシカリウス)
シリア・トルコ国境砂漠地帯
●H・niger (ニゲル)
ヨーロッパ中部・イタリア・ドイツなど

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