輸入チベタヌス(h.thibetanus)の育て方と栽培技術![]() |
| 日本で販売され栽培されているヘレボルスの原種チベタヌスのほとんどは中国からの輸入苗で、暮れの12月頃から一部の山野草店や園芸店などで販売されています。 これら中国から輸入される多くのチベタヌスは、荻巣氏が1989年に再発見したという中国四川省産の標高2千メートル近くのものではなく、中国湖北省近辺からの山採りの苗と思われます。 4〜5年前までは数芽ほど付いた苗が高価な価格で販売されていましたが、最近では輸入される苗も数が多くなりその高価な傾向も薄れ、一苗2〜3芽付いているものが2〜3千円程度で入手できるようになってきました。国内で実生されたチベタヌスの苗の流通はほとんどなく、チベタヌスの花を楽しむには中国からの輸入苗に頼らなければならないようです。実際この輸入されたチベタヌスを栽培してみると多くの苗は山から堀あげ根を極端に短く切られているためや、日本の夏の気温などが高いためほとんどの苗は腐ってしまったりして、チベタヌスの美しい花を見るまでもなく消耗品と化しているのが現状です。 中国で山採りされたチベタヌスは日本の検疫を通過させるために、根の隙間まで水で根洗いし現地の土などが付着していない状態にしてコンテナに詰められ日本にやってきてきます。 日本に陸揚げされたチベタヌスは二芽あるいは三芽ずつに分けられ、4号くらいのポットに鹿沼土を主体とした用土で植え込まれ園芸店の店頭に並べられ販売されます。 現地で山採りされた後、根を短く(10センチ位)切られ長時間かけ中国の内陸から列車で運ばれ日本にやってきますので、輸入チベタヌスをそのまま鉢・用土などを吟味し水はけ良く植え替えられたとしても十分な活着は少なく、半年から1年後には苗そのものも腐り淡いピンクの美しい花を咲かせることが不可能なようです。 しかし、入手時期や育て方などの栽培方法の工夫によっては日本の暑い夏を超し、数年後には淡いピンクの美しい花を見ることが可能です。 (購入時期) チベタヌスを入手する時期は中国から輸入されて園芸店の店頭に並び始める12月頃が入手には一番良い。購入時期が遅くなれば当然苗の健康状態も悪化しますので、販売する園芸店に問い合わせし入荷の時期を聞いておくのが良い。 これは、現地で根を短く切られ根洗いされてるため、苗の健康状態の回復を早くするため園芸店の店頭に並んですぐにということです。 (苗の状態) チベタヌスの根は10〜20センチほどに短く切られていて、葉や花は確認できませんが花芽は付いています。切られた根の先端部分は黒く変色してカビなどが付いているものもあるので注意します。 購入する苗は芽の数が少なくとも3〜4つほど着いているものを選びます。 (苗の見分け方) 通常4号くらいのポットに鹿沼土などで植え込まれていますので、根の部分を確認するのは不可能です (ポットから抜き出すのは不可、お店でのエチケット)。 販売している園芸店でいつ店に来たかを確認することも重要。 葉芽や花芽が堅く芽の先端部分が綻んで瑞々しい苗で、根や茎の部分などに灰色のカビなどが付着していなかを店主に確認し、それらのない苗を選びます。 (購入後の植え替え方法) 購入後はすぐに通気性の良い5号鉢(直径15センチ位の駄温鉢)に植え込みます。 チベタヌスの鉢栽培では、プラスチックで作られているような鉢の側面に通気性の無い鉢は避ける。 用土はクリスマスローズのハイブリットなどを植え込む場合の土に準じますが、軽石の分量を2〜3割くらいに増量し土の水はけや通気性を良くし、肥料成分の入っていない土を使用します。 チベタヌスの根の先端部分を折り曲げたりしないよう注意し、根の軸が新鮮な部分まで鋭利なナイフなどで切ります。その後はメネデールなどの植物活力剤を希釈した水に、苗全体を半日程度漬け込み活力剤が植物の体全体に行き渡るようにします。 束になった根を広げるようにして鉢に植え込み土を根の隙間まで入れ、病気から苗を守るため殺菌剤を土に流し込み苗全体と土を殺菌消毒します。 植え込み後は、伸びて膨らんでくる蕾や花芽を一つ位を残し、その他は取り去り苗の体力を消耗させないようにします (置き場所) 購入時期・植え替えとも季節は厳冬期ですので、チベタヌスの置き場所は冷たい風の当たらない半日陰で、雨や霜・雪の恐れが無い場所を選びます。 これで植え込みまでの一応の手順は終わりましたが、これから一年後秋の11月頃まで雨に当てないようにし、5月下旬頃からはチベタヌスを植え込んだ鉢を涼しい半日陰の場所に移動させます。 また肥料は新しい根が確実に出てくるまでは一切与えず、3週に1回くらいは用土の表面に殺菌剤を若干浸みるように散布し、株基からの腐れなどを避けるようにします。 また水やりの時に活力剤などを使用するのも良いでしょう。 (冬から春) チベタヌスを植え込んでしばらくすると新しい葉や花芽が伸び出してきます。 この葉はチベタヌス本来の健康な葉ではなく、いじけた葉ですが夏に枯れないよう水管理に注意をし秋10月頃まで葉が緑色か薄いベージュ色をしているように育てます。 チベタヌスは秋も押し詰まった10月頃まで葉が残るよう栽培します。 (夏の水やり) 6月頃から10月始め頃までの水やりは、日中には水を与えないようにし、鉢の表面が乾いた夕方に底から水がしたたり落ちるくらい鉢に流し込み、鉢と土・苗の温度を下げるようにします。 またその際にはチベタヌスを置いている場所の周辺に打ち水などをするようにし、気化熱を利用しチベタヌスの周囲の気温を下げるようにします。。 特に都市部などでは、夜間の気温が熱帯並みに25度を超えることも多くありますので、出来る限りチベタヌスが過ごしやすい涼しい環境を作ってあげるようにします。 また鉢土の上には水苔などは置かず土の乾きがすぐに解るようし、水苔などを土の表面に置くのはチベタヌスが発根し完全に活着した翌年からにします。 前年の暮れに新たな土で植え替えられたチベタヌスの苗も6月くらいまでは葉を残しているでしょうが、このチベタヌスの葉が秋の9月〜10月頃まで残っていたら、まず新しい根を出し活着していると考えて良いでしょう。 ただ、そのころはまだ肥料は与えず、活力剤を週に1回ほど与えるようにすると良いでしょう。 (チベタヌス・秋の管理) 植え込み後時々、あるいは秋10月頃になりましたら、植え込んだ苗の中心部分が黒く腐って穴があいていないかを確認します。 黒く腐っていたら根の部分は生きていても、芽当たりの部分は腐ってしまっていますので、残念ながらまず新しい芽や根は出ていないでしょう。 このころのチベタヌスの根が活着してたとしても、新しい根は古い根からは僅かばかりしか発生していずむしろ発生していない方が多いようです。新しく発生する根は茎の基からが多くこの新根を大切に育てるようにします。特に水やりなどで茎の基がえぐられて白根が見えるようでしたら新しい土をかけ、また新根が十分に伸びられるよう水苔を乗せるのも良いでしょう。 茎の中心部分が腐っていなかったなら根茎の部分、外側の茎の部分に新しい芽や白い根が見つけられると思います。 その部分や土の上に水苔などを敷き詰め、根の発生する軸元の湿度を高くして発根を容易にしてあげましょう。 ここまで来れば、まず安心。 植え替えなどは根が十分に伸びて成長する一年後、翌年の秋まで待ち、通常の育て方をします。 (根の活着後・春の管理) 翌年の春2月頃に、チベタヌスの新しい芽から葉が伸びているのを確認してから、購入後初めて薄い液肥などを与え始めます。 この頃は、株そのものの体力も無いため植え替えはいたしません。 植え替えたりして出てきた新しい根を、乾燥した空気や土などに晒さないようにします。 厳寒期ですので寒風に当てないようにして、鉢の間隔を十分にとるようにして鉢の外面・底面からの空気の流通を良くします。 (根の活着後・夏の管理) 5月中旬には肥料をを与えるのを止め、半日陰の場所に鉢を移動させます。 また茎の際から発生した新しい根が空気に直接触れないように水苔などで覆い、用土が過度に加湿・乾燥しないように注意します。 (その後の管理) チベタヌスの購入後の植え替えから約2年した10月中旬頃に、改めて6号あるいは7号の駄温鉢に植え替えします。用土の混入率は初めて苗を植え込んだものと同じにします。 植え替えるときには根鉢は崩さず鉢を緩める程度にします。 このころにはチベタヌスの新たな花芽も完成して蕾も大きくなっている状態ですので、植え替え後2週間ほど過ぎた頃からリン・カリ成分の多い肥料を与え始めるようにします。 (輸入チベタヌス栽培のポイント) チベタヌスの育て方のポイントは購入後1年間は無肥料の状態を保ち、1年後に新しい根が出て生育状態を確認してから肥料を与えるようにする。 国内で実生されたチベタヌスと違い、輸入されたクリスマスローズチベタヌスを購入して長く楽しむには、植物に対して人間の欲望(早く花を見たい・早く大きくしたなど)を極力抑えるようにして栽培すると良い結果が出てくるかも知れません。 (参考写真画像) ![]() ![]() チベタヌス写真画像(リンク) |
| 2006/7 |
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