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クリスマスローズの育て方とガーデニング 花と園芸植物の販売情報

若泉ファームのサイトにようこそ。お届けするクリスマスローズは奇跡の花、ニゲルとチベタヌスの交配種「絹」、外覆輪のセミダブル「雅」、ホワイト糸ピコティ「FirstKiss」、グリーンピコティ「翡翠」、赤い雄しべをもつ「卑弥呼」、 第4のクリスマスローズジャンル「Shall We Dance」などオリジナル品種をネットショップにて販売していますのでご利用ください。

クリスマスローズの育て方 ヘレボルス属の病気と害虫

クリスマスローズが罹る病気と植物の体を虫食む害虫
病害や害虫が発生しにくいと言われているクリスマスローズ(ヘレボルス属)にも、他の植物と同様幾つかのカビ・細菌性の病気、害虫の食害を原因や作業時に使うハサミやナイフの使い回しによってウィルスなどの病害などが発生してきます。
クリスマスローズを健康に育てて楽しむためには、病気が発生する前の予防と栽培する植物の生育環境を整理することが最も大切です。
病気が伝染する経路の主なものに昆虫の食害、原因となるカビの胞子が空気によって散布されたり、病原菌が混じった水によって感染したり、人間の手・衣服、栽培器具の使い回しなどから健康な植物に感染します。
ここでは主な病気の症状の写真に解説を添え、病害虫の被害からクリスマスローズを守るための予防と対策を解説しています。

ブラックデス(黒死病)

春に出てきた葉に発生したブラックデス(黒死病)葉から花へと急速に進行してきて花弁にも黒いブラックデスの病変が広まっている
ブラックデス(黒死病)は、クリスマスローズの秋の新葉が展開する
秋10月頃や春から初夏にかけての開花時期に多く現れます。
ブラックデスに罹るとクリスマスローズ、特にガーデンハイブリットの新葉の葉脈や花・茎の脈に沿って
黒いコールタール(光っているような感じ)を筋状に塗ったようになり葉に撚れ(下の画像参照)が生じてきます。
茎に黒くコールタール状の傷が発生してくる
葉全体がブラックデス(黒死病)に犯されてしまったガーデンハイブリット
ブラックデスの現れた株からはカーラウィルス(Carla virus)が国内外の大学研究室などで発見されていますが病気の原因として確定はされていません。
この病気に関しては治療の方法や農薬などは開発されていませんので、ブラックデスが発生した場合には他のクリスマスローズに伝染しないように破棄するか焼却をするようにします。
病気伝染の経路はスリップス(アザミウマ)やアブラムシ(アリマキ)・ハダニなど植物を吸汁する昆虫が、口針で葉や花の汁を吸う時にウィルスを伝播させると考えられますので、栽培しているクリスマスローズの周囲にそれらダニやスリップスなどの害虫を繁殖させる不必要な植物や雑草を生えさせないこと。
そして定期的な殺虫剤の散布作業をし作業に使うハサミやナイフなど器具の消毒を徹底することが必要です。
特にスリップスは花の花粉を食料としていますので、鉢などに落ちた雄しべなどは落としたままにせずなるべく取り去るようにします。
クリスマスローズと
一緒にアブラムシなどが発生しやすいバラなどの植物を同時に栽培している場合には十分な注意が必要です
 ブラックデスの末期的症状 ウィルスは黒い部分では活動が弱く緑の部分で活発化している
ブラックデスは昆虫の口針やハサミなどの器具から感染した後の、潜伏期間が3ヶ月から18ヶ月ほどあるとされます。
庭などに植え込んでいるブラックデスに罹ったクリスマスローズは掘り起こして焼却破棄し、その後には数年間は同じ場所にはクリスマスローズは植え込みません。
ブラックデス対策としてその掘り起こした植穴の周囲には、オルトランやアドマイヤー・オンコルなどの浸透性移行性殺虫剤を定期的に蒔き、株の周囲の植物に棲息するスリップスなどの害虫を殺虫し、土の中に残った根などが完全に腐敗分解するまではクリスマスローズや他の植物を植え込まないようにします。
鉢植えなどの場合でも用土の再使用は厳禁です。
ブラックデスの症状はベト病など他の病害症状と似た様子を示すため、破棄したり焼却する場合にはベト病などを一時的には疑った方が良い場合があります。
ブラックデスはクリスマスローズの病気の中では最も脅威があり、罹病した株を治療する農薬等は現在はありません。


最も効果的な防除と対策の方法は
1 クリスマスローズを入手した時点で他のクリスマスローズと隔離栽培する。
2 アブラムシなどが発生しやすいバラやアブラナ科の植物と同じ場所に置かない。
3 雑草の除去。
4 防除知識の無いアマチュア同士の苗や株の交換などは避けるようにする。
5 農薬による害虫の定期的な防除。
6 クリスマスローズの葉切りなどの作業時には第3リン酸ナトリウムの希釈液でハサミやナイフなど器具の消毒をする。

ブラックデスは新しい葉が伸びてくる春や秋頃に発生することが多いため、古い葉や茎との擦れによって起こる茶色い筋と見間違うことも有りますので注意が必要。


  ハダニやスリップス、またアブラムシなどに効果があります。害虫に耐性を作らせないため1年に2回程度の使用が望ましい。第三リン酸ナトリウムの販売 ネットショップ 

灰色カビ病
クリスマスローズの灰色カビ病は、クリスマスローズの新葉が発生する低温多湿の春から初夏にかけてと秋の長雨の季節に発生するので、株と株の間の風通しを良くし長雨に当てないようにする。
病原は糸状菌(カビ)の一種ボトリチス菌(Gray mold)などで気温が20度前後で多湿の時期に多く発生する。灰色カビ病に罹る主な環境は、株の間の空気の流通不足・株の深植えや用土の崩れ、根つまり、過湿等が関わってきますのでそれら日常の注意が必要です。
春に発生した新葉に現れた灰色カビ病
地植えのクリスマスローズ 落ちた雄しべが灰色カビ病などの原因となることがある灰色カビ病
灰色カビ病が発生したなら用土を乾燥気味に管理するが、灰色カビ病に罹らないようにするには夏が終わる8月末頃から予防的に殺菌剤(ダコニールなど)を散布し、鉢植えの場合には鉢土の上を清潔にするようにします。
灰色カビ病などの病気に罹ったなら病変部分を切り取り用土を乾き気味にして管理する。

花の季節は花弁から落ちた雄しべや花粉がカビを繁殖させやすい条件を作りますので、雄しべや花粉は取り去るようにして灰色カビ病などから株を守るようにします。前年に灰色カビ病に罹ったクリスマスローズの鉢植え株は、その対策方法として表土を数センチ取り去り新しい用土を入れることによって幾分かは防ぐことが出来ます。
一般的な病気予防・治療薬としてロブラール/ベンレート/ダコニール/ジマンダイセンなどがあ
る。
クリスマスローズの花が終わりに近づくと雄しべが花弁から落ちてきます。この落ちた雄しべが灰色カビ病の原因となる場合が多いので出来る限り取り去るようにする。

ホームセンターや園芸店で入手できる一般的な殺菌剤 ダコニール ベンレート水和剤 オーソサイド水和剤。

立ち枯れ病
立ち枯れ病は灰色カビ病と同じく、土中のカビ(ボトリチス菌・Gray mold)やリゾクトニア菌などによって春から夏・秋の低温多湿の頃に発生することが多いので、株の株の間の風通しを良くし用土を乾燥気味に管理する。
鉢植えで立ち枯れ病が発生しやすい環境は
空気の流通が少なかったり長期間、植え替えをしなかったり鉢表面の用土が崩れていたり根詰まりして空気が十分、鉢中に流通していない用土の場合に多く発生しやすい。
鉢植えの株に立ち枯れ病が発生したなら、表土を数センチほど削り取り新しい用土を入れ殺菌剤を用土の中、深さ2〜5センチほど染み込むように散布する。
立ち枯れ病に罹って最悪の場合には葉・茎全てが地際から倒れて腐ってしまいます。
全ての茎が倒れてしまうなどの重症の鉢植えの場合には、早急に雨の当たらない所に移動し殺菌剤を用土の中に流し込みその後数週間はいっさい水を与えずにおきますと、季節や症状の状態にもよりますが新しい芽が数週間後には発生してくる。
リゾクトニア菌による立ち枯れ症状がみられる場合ではリゾレックスなどのリゾクトニア菌に対する特効薬などの使用に際しては耐性が付きやすいため注意が必要です。
立ち枯れ病が発生してしまったら殺菌剤を散布しての治療が必要ですが、開花株などでは雄しべの花粉などが鉢土に付着し病気を蔓延させないような工夫も必要です。
カビに犯されて倒れてしまった茎と新芽
立ち枯れ病が発生してしまったら

1 一時的に鉢を雨の当たらない場所に移動し、新芽が出るまでの数週間は鉢上部か  らは水を与えない。
2 鉢の表面の用土を数センチ削り取り新しい用土を加える。
3 殺菌剤を残された草株全体に散布し用土に流し込む。
4 新芽が出て伸びてきたら水を与え、植え替えの可能な季節なら用土を全て落として新しい用土で植え替える。

一般的な薬剤として販売されているものにはタチガレンやダコニール/オーソサイドなどがある。

倒れた茎基の拡大写真、軸もとに白いカビが見える

ブラックスポット(黒点病)
ブラックスポット(黒点病)の症状はクリスマスローズの葉の表面に黒い点々が発生し黒星病ともよばれる。特に高温の季節に多く発生しますので極端に直射日光が多く当たらないように遮光をし病気予防する。クリスマスローズ(ヘレボルス属)には一般的な病気ですが、ブラックデスやベト病などと病気の症状が似ているためうっかり破棄しないような注意が必要です
サブロール/ダコニール/ジマンダイセンなどが病気治療薬として市販されている。

ブラックスポット(黒点病・黒星病)

ベト病
ベト病は 糸状菌 によって発生しクリスマスローズの葉が充実してくる気温20度前後の初夏からから夏にかけての多湿の季節や秋口に多発する。
初めは茶黒くべとついた感じがするが、病状が進んで来ると葉の色が退色したり銀灰色や黒く乾燥した葉の状態になり葉脈で区切られた症状が出てくる。
対処方法として症状が悪化しないうちに症状の現れた葉を切り取り殺菌剤を散布するが、土壌の中に残っている卵胞子が伝染源となるのでベト病にかかった葉は焼却するようにする
ベト病の症状の出方によってはブラックデスや黒点病(ブラックスポット)と間違われることがあるので注意する。
ベト病の予防治療薬としてジマンダイセン/オーソサイド/ダコニール/ボルドーなどがある。

ベト病ベト病の被害葉
クリスマスローズ苗 ベト病からの生還

ベト病ベト病 ベト病ベト病 7月ベト病 6月

モザイク病(バイラス病)
モザイク病はウィルス性の病害でクリスマスローズの発生初期の葉や比較的堅くなった葉に多く現れ
斑入りと見間違えたり微量要素欠乏症と勘違いしたりする
時間が過ぎるとともに固い葉だけでなく新しく出てきた葉にもモザイクの症状が現れてくる。
ブラックデスとは異なりクリスマスローズの花などには大きな症状は現れないが時間の経過と共に花にも病変が広まる。
スリップスやアブラムシ(アリマキ)・ダニなどに、病状が現れたクリスマスローズの花や葉を吸汁されないように、健康な株とは異なった場所に隔離するか破棄する。
モザイク病に罹ったクリスマスローズなどの植物を隔離する場合には、浸透移行性の殺虫剤(オルトラン粒剤・モスピラン粒剤・オンコル粒剤)を鉢や株の周囲に撒きアブラムシやスリップスなどによってモザイク病の被害が他の株に伝染しないようにする。
モザイク症状モザイク病の発生したクリスマスローズガーデンハイブリットの葉 モザイク病に罹ったクリスマスローズの蕾み
クリスマスローズ(ヘレボルス)の斑入り葉

クリスマスローズの生理障害 微量栄養素欠乏症
微量要素欠乏症や生理障害はカビやウィルスなどによる病気とは異なります。
放置しておくと植物の生育に著しい影響が出てくる。
病気の症状は主として葉脈以外の葉の緑が抜けるように薄黄色に変化するのが特徴で、原因は微量栄養素のマグネシウムなどの不足、過度にカリ肥料(石灰・燻炭)を多量に与えたことによって起きる事が多いが、用土の加湿によって根の異常など他の原因によっても発生する。
対策は硫酸マグネシウム液を噴霧するか季節を選び石灰の入っていない用土で植え換えることによって解決する。マグネシウムだけでなく、マンガン・ホウ素・カルシウムなど微量栄養素の過不足などによって生理障害が起きる場合があり、写真画像とは異なった様々な症状を現してきます。
応急的には住化タケダ園芸で発売しているエードビタスプレーが微量栄養素欠乏症には効果がありましたが販売終了になっていますので貝化石の粉末を撒いたりメネデールなどの活力剤を使用します。

植え替えが出来る10月から4月の季節ならば用土をほとんど落としての植え替えが良い。
化成肥料を多用するとおきやすくなりますので、牛糞堆肥(土壌改良材で肥料ではありません)を用土に混入すると生理障害などの解決になることがあります。
この微量栄養素欠乏症の写真は一例で、ウィルス性の病気と見間違えたり、またダニの食害による葉の異常など、他の似た症状も多くありますので注意が必要です。

微量栄養素欠乏症の苗微量栄養素欠乏の葉
微量栄養素欠乏症のクリスマスローズ(葉の黄変)微量栄養素欠乏症
微量栄養素欠乏症クリスマスローズの実生苗に発生した微量栄養素欠乏症微量栄養素欠乏症に似た症状 ダニによる食害症状

殺虫剤と殺菌剤の薬害
写真は白のガーデンハイブリットに現れた殺菌剤による薬害の一部です。
このような薬害は開花の間際になり灰色カビ病や立ち枯れ病の害から苗や株を守ろうとする際に殺菌剤・殺虫剤を散布し発生させてしまいます。
クリスマスローズに薬剤を散布する場合には予防的に蕾が大きくなる前に散布したりし、蕾が大きくなっている株や開花している株には薬剤を花などにはかけないように注意します。
植物に農薬などの薬害を発生させてしまう原因は、濃度を調整する際の農薬や水の量を間違えた時や、高温の季節に散布し葉についた殺菌剤などの溶液が急激に乾燥した場合などの時にも発生させてしまいますので、気象条件や薬剤の濃度には十分に注意したいものです。

殺菌剤によって起こった薬害症状殺虫剤による薬害
殺虫剤の散布によりクリスマスローズの葉に発生した薬害の一部
薬害が現れたクリスマスローズの種さやクリスマスローズの種さやに現れた薬害

軟腐病
軟腐病は白菜などの野菜に多く発生する病気ですが、クリスマスローズでは成株に夏から秋にかけて発生することが多く開花前の苗などに発生することは少ない。
症状は茎の基が白くホコリにまみれ濡れたようになり、急に葉の色が緑から茶色くなって写真のように茎が地際から抜け倒れてくる。
白くなった部分からは軟腐病独特の腐敗臭が発生するので、他のクリスマスローズの病気とは容易に判別できる。
原因は台風の強風などによって葉や茎が折られ、その部分から病気の原因となる菌が進入する事が多いが、根詰まりや用土の崩れを放置し用土の乾きが遅くなると軟腐病が発生する確率が大きくなる。
軟腐病に犯され枯れたようになったクリスマスローズの葉写真右下の白くなった部分からは軟腐病独特の腐敗臭が出てくる
軟腐病は葉や茎などの傷口からだけでなく
病原菌の混じった水などからも罹患することが多い。
最小限の軟腐病対策としてクリスマスローズや他の
植物を植え込んでいる鉢などの底や根は直接地面などに触れないようにして予防する。
罹患した株の根本的な病気の治療は不可能ですので、あくまでキノンドーなどの薬剤は予防的に使用するようにする。
軟腐病が予想されるときには予防薬としてキノンドーを7〜8月頃から散布するようにします。
マイシン剤は病原菌に耐性が発生する場合が多いので最低限の使用とし数多く使用しないように注意する。

軟腐病の多くは栽培時の不注意によっておこるため日常の注意が大切です。

鉢植えのクリスマスローズで軟腐病に罹った場合、日の当たらない場所で用土を乾かすと新しい葉芽が発生して復活する場合もある。

オーストラリア系ダブルの病害 炭疽病
葉の表面が上にまくり上げられ周囲が壊疽状になった葉炭疽病・葉の縁に黄色いシミが現れ、その中心近くに茶色や黒い壊疽症状が現れる
クリスマスローズ炭疽病はオーストラリア系のクリスマスローズダブルやセミダブルの系統の株に多く現れる病害症状です。
秋や春に新しく発生してくる葉が
葉の表面に巻き込むようになり、葉の縁が黄色くリング状に彩られたり、あるいは焦げ茶色に変色してくる症状です。
この症状はオーストラリア系のダブルやセミダブルに多く現れているもので、国内で種を採取して実生した株や他の地域から導入されたクリスマスローズハイブリットで見られることは少ない。
炭疽病の症状が葉に出てくる頃に殺菌剤を数回散布しますと新しい葉は正常な葉になることもあります。
このような症状を現した株からはダブルの花が多く現れるとか、またこの花粉を使用した交配株からはダブルの花が多く現れるとか一部で言われているようですが、不確かなものでそのようなことはありませんし、また因果関係は確認されておりません。
これらのクリスマスローズに発生した症状の株からは、幾つかの農業試験場にて多犯性の炭疽病菌(コレトトリカムデマテューム・Colletotrichum dematium)が発見されています。
予防治療薬としてベンレート/トップジン/ダイセンなどの薬剤が市販されている。

クリスマスローズの病気 炭疽病
クリスマスローズの炭疽病・殺菌剤を散布され正常な葉に戻ったクリスマスローズの株
クリスマスローズの炭疽病に効果のある殺菌剤を散布され正常な葉に戻ったクリスマスローズの株で病害が現れた葉の下から正常な葉が伸びている。

 


クリスマスローズガーデン花と園芸の情報